沖縄の陶芸家・当真裕爾さん (b.1986-) のぐい呑・・これは ONE and ONLY. 唯一無二です。当真さんが30歳の頃、ただ「やきものが好き」の一途で作っていた時期の作品。時間は巻き戻せないので、もうこのような作品は二度と手に入りません。今後同じようなことをしても、生活環境や精神状態が変われば、作品も変わってしまうのです。画像の通り、器体のあちこちに石が埋められていて、その石がまるで宝石のような存在感を見せています。器の上部に自然釉の如く灰釉を巻き、そのおかげでどの石も外れず、しかもお酒がモレないという「奇跡のぐい呑」になりました。こんな作為的なことをしても全然あざとさを感じないのは、その時の当真さんが他人の評価を気にせず「素」で作っていたから。國吉清尚さんの、表面に石を埋め込んだぐい呑を彷彿とさせます。この先、当真さんがセラミックアーティストとしてどんな道を歩むのかわかりませんが、何十年か経って回顧展が開かれるようになったら、ぜひこのぐい呑も出して欲しいですね。口縁の二ヶ所にちゃんと飲み口があるので、日本酒が美味しく飲めますよ。画像8枚目、「じ」を崩したサインがあります。最後の画像に写る無地の桐箱が付属します。当真さんは基本的に箱書きをしませんので、いつか本人に会った時に缶チューハイでヘベレケに酔わせて書いてもらって下さい。真作であることを保証します。この作品は那覇の陶器店で購入したものですが、沖縄の焼締系作家作品の流通は面白くて、ギャラリー以外にも陶器商や骨董商が作家から作品を購入し、それぞれが思い思いの売価を付けて販売しています。ある意味、ちゃんと市場原理が働いていますね。それゆえ、すごく良い作品でも、べらぼうに高い値段を付けているところには残っていたりするので、けっこう探しがいがあります。ただ、もう当真さんの作品を見ることはほとんどなくなってしまいました。